米子市内から、南部町方面へと車を走らせること20分。緑豊かな田園風景の中に、趣きのある1軒の建物が見え始めます。やわらかで温かみのある土壁と茶色の屋根。そこにはめ込まれた木の建具と土壁の、美しいコントラスト。素朴でありながら、洗練された外観。ここは2014年5月にオープンされた、「庭の林の森の」さん。お店を営まれるのは、前田美徳さんと志穂理さんご夫妻です。
もともとは鳥取市内にあった「庭の林の森の」さん。育てやすいグリーンや寄せ植え、作業を楽しくする道具などを取りそろえ、緑のある暮らしを身近に楽しんでいただけるお店をしようと、志穂理さんが2008年に始められました。植物に対する愛情と、志穂理さんの誠実な対応と熱心な姿に、お店のファンは増え、街の方たちに愛されるお店としてしっかりと定着していきます。そして4年後、おふたりの結婚を機に、生活の拠点を鳥取県西部に移すことになりました。
かくて惜しまれながら鳥取のお店をクローズし、新たに県西部での暮らしとお店の準備が始まります。そんなある日、知人から「倉吉にとってもすてきな蔵があるんです。その蔵を、なん
とか残したいのだけれど・・・」と、声をかけられます。さっそく、倉吉に出かけた前田さんご夫妻。4つあった蔵のうち、昭和に建てられたひとつの蔵に目がとまったのだそう。
「すごいね、おもしろいね。大きさも、ちょうどいいね・・・」
と心ひかれ、この蔵を自分たちの新しい「庭の林の森の」のお店にしようと決められます。
移築の場所は、以前から縁のあった南部町清水川の土地に。この清水川という土地は、古事記や日本書紀の神話の舞台でもある由緒ある場所で、穏やかでエネルギーあふれる土地です。
こうしてこの土地に蔵は再生され、2つめの「庭の林の森の」さんのお店が始まりました。前田さんご夫妻は、この蔵との出会いで「自然な感じのするもの、作った感のないものは、すごく落ちつくし、いいな・・・」と、改めて感じられたそう。そんなイメージを大切にして選ばれた、草花や植物、鉢類が店内に並んでいます。そして、その草花や鉢を組み合わせて作られる季節の寄せ植えは、自然の風景をお手 本にして、植物の美しさを生かして作られています。
そのほか、店内には、ハンドメイドで着心地のよいかっぽう着や、庭仕事にまつわる雑貨や道具なども並んでいます。また、時には植物の育て方を学んだり、リースを作ったり、季節感あふれるワークショップも開かれ、植物に親しめる場を提供しておられます。もちろん、庭師として、住宅などの庭作りや花壇などもてがけられますが、前田さんご一家らしい庭を作られます。
いままでになかった新しいスタイルの植物のお店。それでいて、ぬくもりと穏やかさあふれる心地よい場所です。ぜひ、「庭の林の森の」さんにお出かけになってみてください。
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[写真/文: 松本]
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