長谷川正さんは20歳の時から30年以上にわたり、乳牛の飼育を続けてきた畜産農家です。今年から畜産の規模を縮小し、長年あたためてきた、野菜の有機栽培に取り組み始めました。
長谷川さんが最初に野菜の安全性を気にしたのはお子さんの食事からでした。当時は農薬を使用するのが当たり前の時代だったので、長谷川さんのお母様が育てる野菜も当然のように農薬が使ってありました。まず長谷川さんが疑問に思ったのは、そんなに多くの農薬を使う必要があるのか、とういうことでした。それからは、奥様と2人で農薬の量を控えて野菜を栽培するようになりました。
有機栽培を意識し始めたのは有機質の肥料…特に堆肥の効果を目の当たりにしたからです。農業者仲間の集まりで、作物の栽培について勉強会を開いていると、土壌分析の結果と実際の栽培結果が一致しないというこがしばしばありました。土壌診断のデータを見ると非常に優秀な畑で収穫出来る作物が、それよりも診断結果の劣る畑よりも悪いのです。
この矛盾する結果に、当時土壌分析を担当していた普及員の方も首を傾げました。ところが、この問題のあった畑に堆肥を投入するようになってから2〜3年、徐々に作物の状態が向上してきました。それまでは化学肥料のみで栽培していた畑に有機質の堆肥を入れたことで問題が解決したのです。この件で、長谷川さんは有機の可能性に注目するようになりました。
いつかは本格的に有機農業に取り組みたい。
長谷川さんは少しずつ準備をしてきました。牛舎から出る牛糞や籾殻、バークなどを使って、ご自身で有機堆肥を作り始めました。また、有機栽培をするために、農薬や化学肥料を使わずに牧草だけを育てて、農地の準備をしてきました。
そして今年(2011年)、有機JASの認定を受けました。今後は少しずつ有機栽培の面積を増やしていく予定です。
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[写真/文: 森藤]
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