蒜山で「畑の食卓」を営まれる矢野元貴さんに初めてお会いしたのは、3年ほど前。何回かお会いするうちに、「いつかファーマーズ・マーケットで、ご一緒できたらいいですね・・・。」と話していました。そして、そんな会話が実現し、このたび7回めのファーマーズ・マーケットに参加していただけることになりました。
矢野さんが、有機や自然農・マクロビに心ひかれたのは、ご自分の体験から。
もともとは、兵庫県出身の矢野さん。高校を卒業後、東京のCGの専門学校に。その後もCGのゲームやCMの仕事に携わり、昼夜を問わず仕事に取り組む日々。そして不規則な生活と食事で、とうとう身体が悲鳴を上げたそう。かくて、仕事を辞め、治療の生活が始まった時、ふと目に入ったのが自宅アパートの向かいのマクロビの料理教室の看板でした。
惹きこまれるように足が向き、そのまま半年間のマクロビ基礎コースに通うことを決めたそう。半信半疑で教室に通い始めて2週間、少しづつ身体に変化が現れます。ぼろぼろだった肌はきれいになり始め、身体の調子も整い始めました。
「あぁ、やっぱり身体は食べたもので作られるんだ。食べものの力は、すごい!そして、この体験を、まわりの人たちに伝えていきたい」
と、思ったのだそう。
その後、さらに1年間のマクロビプロフェッショナルコースを学んだ後、蒜山に居をかまえることに。畑で野菜を育てることに挑戦し、自宅でマクロビの「Orijin cafe」を始められます。来られたお客さまがのんびり、ゆっくりと過ごされる居心地いいカフェが、2年を迎えた冬、矢野さんのもとにひとつの便りが届きます。
自分を助け支えてくださった東京のマクロビ教室で、新しくカフェを立ち上げるという便りです。「そのカフェのお手伝いを通して、学びたい」という思いから、店を閉め再び東京へ。店舗の改装、メニュー決め、開店準備とあわただしく月日は流れていきます。そして、「ベース カフェ」のオープン、日々の営業と、瞬く間に半年が経ちました。
カフェも軌道に乗り、「もうそろそろ、自分も帰ろうか・・・」と、戻ることを決め、再び蒜山での暮らしが始まりました。そして、「今度は、やることを絞ろう」と、ジャムやシロップ、ピクルスなどのびん詰を作られ始めます。
屋号は、「畑の食卓」。
田畑で育つものを中心にした食事をすれば、現代病にならないんじゃぁないか。そして、毎日のふだんの食卓にのぼるものを提案するのが、今の自分にできること・・・」という思いから。使用する原料にはとりわけ気を配り、有機野菜や自然農などでつくられた安全で安心な野菜や果物を生産者の方から直接わけてもらい、加工されます。季節の野菜や果物で丁寧に作られたジャムは、素材の持ち味や甘みが生かされたやさしい味です。
「こうやって作られたその季節の旬の味わいを楽しませていただけるのは、とってもシアワセなことだなぁ・・・」と感じます。
今後は、徐々にお菓子作りも手がけていかれる予定です。
矢野さんのこころとからだにやさしい味を体験しに、せひお出かけください。
ご注意ください
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[写真/文: 松本]